2024/04/15
吉野山の桜はふもとの下千本から奥の奥千本まで順番に満開になります。
当初は4月上旬の中千本や上千本の満開日に合わせるつもりでしたが、あいにくの雨模様や仕事で行くことができず…。何とか奥千本の満開日ギリギリの4月中旬に行くことができました。
今回は健脚な80代の母と60代夫婦の3人で東京から日帰り旅行。日帰りなので、効率よく乗り換えできる新幹線と近鉄特急の事前予約は必須。
3人の年齢を考慮し土日を避けて平日に、『ふもとの吉野駅から奥千本まではバスで一気に上り、ゆっくり桜と世界遺産を見ながら歩いて下りるコース』で散策しました。
吉野山は桜が有名ですが、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも登録されていて見どころがたくさん。東京から日帰りで十分に楽しめました。
東京駅6:15発のぞみ3号で京都駅へ。乗り換えの近鉄特急の発車時刻に合わせてスマートEXで予約。車窓からは茶畑越しに富士山が見えました。8:24京都駅着。
京都駅の新幹線中央口から出て直進。近鉄電車に乗り換えます。近鉄の特急券は事前に『インターネット予約サービス』で購入していたので、『きっぷうりば』に寄ることなく交通系ICカードで改札を通ることができました。
近鉄京都駅から8:35発吉野駅連絡の橿原神宮前駅行き特急に乗車(乗車時間約55分)。急行もありますが約70分かかります。この特急車両には1座席につき1つパソコン・携帯用コンセントがついていました。
9:30橿原神宮前駅に到着。ここで9:46発吉野駅行き特急に乗り換えます。次に乗る特急券もインターネットで購入済みです。
ここで乗り換える吉野行き特急は大阪阿部野橋駅発。桜の季節はすぐに完売してしまうので要注意です。ただ特急の乗車時間は約40分、普通でも約50分なのでこの区間の特急券が予約できなくても大丈夫です。
この特急には2席に1つのコンセントしかありませんでした。
吉野川を渡ると10:26吉野駅に到着です。
今回の目的の一つは奥千本の満開の桜を見ること。残念ながら下千本・中千本・上千本はすでに葉桜なので一気に奥千本までバスで上ります。
観桜期は➀近鉄吉野駅前から➁中千本公園(中千本バス操車場)まで奈良交通の臨時バスが出ています。
そこからは同じく観桜期で上千本区間のみの運行となっている路線バス(吉野山奥千本口ライン)に乗り継いで奥千本に向かいます。(➂竹林院前から➃奥千本口)
下千本や中千本が満開の時期なら徒歩やロープウェイで桜を楽しみながら上るのもおすすめです。
近鉄吉野駅の改札を出てまっすぐ進みます。ロープウェイに乗る場合は右方向の千本口駅へ。
2024年3月23日~4月21日は奈良交通の臨時バスが出ています。観光客が多いときは増便されます。運賃は中千本公園まで大人450円。
吉野駅前から如意輪寺前を経て中千本公園まで約20分。ここから階段を上り、次のバス停(竹林院前)に向かいます。
観桜期(3/23〜5/6)はここから20数人乗りのマイクロバスが出ています。案内の方によると4台で折り返し運行中とのこと。
運賃は大人400円。小人200円。支払いは現金のみです。
待ち時間は約40分と掲示してありましたが25分で乗車できました。奥千本口バス停まで約15分で到着。
吉野山の一番奥にひっそりとたたずむ世界遺産 金峯神社。参拝後は遊歩道を一周しながら奥千本の桜を鑑賞できます。ただあまり整備されていない道もあるので、ハイキングにふさわしい靴が必須です。
奥千本の地域ではスギ・ヒノキへの植え替えや自然災害などで桜の成木が減少しており、現在植樹活動が進められています。少し大きくなった桜の苗木も見ることができ、数年後が楽しみです。
バスを降りると目の前には大きな修行門。周りの桜は満開を少し過ぎた感じ。
修行門をくぐり急な坂道を上ります。坂の上には奥千本で唯一のお手洗い。
世界遺産。祭神は金峯山の総地主神金山毘古神(かなやまひこのかみ)。境内は自由参拝。
金峯神社鳥居横の山道を進み奥千本遊歩道を一周します。順路どおり➃の分岐をまっすぐ進みます。
➄の分岐で左(西行庵)方向の石畳の階段を下ります。右方向の鳳閣寺(ほうかくじ)は軽く歩いて行ける距離ではないので要注意。
さらに下ると目の前には奥千本の桜が広がります。階段下には『奥の千本』の看板があり写真撮影ポイントです。
平安時代の最末期に歌人・西行法師が二年余り過ごしたとされています。
先ほどの階段横の細い道を進みます。急な坂道の折れ角には西行や松尾芭蕉の歌にも詠まれた苔清水。
現在も吉野山奥千本の再生のため、桜の植樹活動が進められています。
令和の献木活動として1000本の吉野桜が植樹されます。献木代金は一口(苗木1本)50,000円。
明治の初めの廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によりこれらの建物は移築や破却され、仏像は運び出されました。
再び➃(=11)の分岐のところに戻って来ます。写真を撮りながら約50分で金峯神社に戻りました。
上千本の地域は世界遺産吉野水分神社や高城山・花矢倉展望台など見どころがたくさん。残念ながら山の下のほうの桜は葉桜でしたが、ゆっくり楽しみながら世界遺産大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)を歩きました。
途中、花矢倉展望台の茶屋では名物「しいたけ飯」をいただきながら休憩。
約2時間かけて中千本の地域まで下りました。
修行門を後にして上千本・中千本方面に歩きます。
約10分で高城山展望台の下に到着。かなり急な坂道を上り振り返ると奥千本の桜が見えます。
標高約700mの高城山にある展望台からは、吉野山、金剛山、葛城山などを一望できます。目の前の桜は散り始めていました。
世界遺産吉野水分神社の鳥居前に到着。拝観は無料。拝観時間は8時から16時。4月のみ8時から17時。奥の楼門は重要文化財。
左手手前が拝殿、左手奥が幣殿。正面奥は回廊。1605年豊臣秀頼が再建、すべて重要文化財。境内の枝垂れ桜は満開でした。
拝殿の向かいに本殿。こちらも重要文化財。石垣の上に建ち、三殿を一棟続きにした珍しい形状。
花矢倉展望台の子守茶屋でお昼御飯を食べることに。名物のしいたけ飯を注文。
少し遅めの昼食時間だったので、絶景を望めるテーブルに座ることができました。しばらく疲れた足を休めます。
吉野山の中心街が正面に見下ろせます。残念ながらここから見える桜はほぼ葉桜でした。
吉野山を北の起終点とし熊野まで約170km大峯奥駈道は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつして登録されています。
大峯奥駈道を進み吉野山上の千本の看板前に到着。すでに葉桜で残念。少し休憩して竹林院バス停方向に向かいます。
竹林院バス停を通り過ぎ群芳園前に到着。大和三名園の群芳園は池泉回遊式庭園で入場料400円。今回は時間がなく入場を断念しました。
中千本の地域は吉野山の中心街。お店、旅館・ホテル、お寺などがたくさん並んでいます。
中でも世界遺産の𠮷水(よしみず)神社と金峯山寺(きんぶせんじ)はぜひとも寄りたかった場所。
ゆっくりお土産なども探すつもりでしたが、逆算すると予約した近鉄特急に間に合わないという心配が…。
ここは世界遺産巡りを優先して、お土産は吉野駅周辺で購入することにしました。
右手にある𠮷水神社の鳥居をくぐります。拝観時間は9時~17時(受付は16時半まで)。
かなり急な参道を上ります。
世界遺産 𠮷水神社表門に到着。奥に見えるのは中門。
表門を入ると右手には上千本・中千本の『一目千本』の景色が広がります。満開時は人混みで写真撮影が難しいかも。
明治の廃仏毀釈で神社となり、後醍醐天皇・楠木正成・𠮷水院宗信を祀っています。とても珍しい二礼十七拍手(四・四・四・四・一)一拝という参拝作法です。(次写真参照)
南朝皇居の碑の後ろは世界遺産に登録された日本住宅建築史上最古の書院建築。拝観料は600円。
潜居の間は室町初期改築による床棚書院様式です。手前に弁慶思案の間もあります。
1336年後醍醐天皇が吉野に朝廷を開いてから南北朝統一までの57年間、ここに南朝皇居が置かれました。
義経と静御前は弁慶らとともに𠮷水院に潜んでいました。義経の鎧は重要文化財に指定されています。
後醍醐天皇や義経、豊臣秀吉・秀頼親子に関する品々が数多く展示されています。
秀吉が吉野の花見をするときに本陣が置かれ、ここで歌会、茶会、能の会が開かれました。そのときの品々も書院に展示されています。
書院裏手には邪気祓いどころの北闕門(ほっけもん)。吉野山から大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)を経て大峯山に入る際ここで邪気を払ったとのこと。
階段を上がった左手に「二天門跡村上義光公忠死之所」と刻まれた石柱が建っています。
蔵王堂は金峯山寺の本堂。現存の建物は1592年建立。日本最大秘仏である本尊金剛蔵王大権現三体が特別御開帳(3/23~5/6)されていましたが、16時までということで入れませんでした。(右下写真は近鉄ニュースより)
ご本尊は拝めず残念でしたが、参拝して帰路につきます。国宝仁王門は解体大修理中でした。(令和10年完成予定)
途中、銅鳥居(かねのとりい)と黒門をくぐり、吉野山ロープウェイの吉野山駅へ向かいます。
乗車券販売機は現金のみ。料金は450円です。
16:20発のケーブルカーに乗ることができ、17:03発の近鉄特急に十分間に合います。
満員のケーブルカーで約4分、千本口駅へ到着。
吉野駅前でお土産を購入し、『葛餅ソフト』(税込み500円)をベンチで食べながら休憩。
特急券はインターネットで事前購入していたので交通系ICカードで入場します。
17:03発阿部野橋行き特急に乗り橿原神宮前駅で乗り換えます。
橿原神宮前駅で17:51発京都行特急に乗り、京都駅で19:21発新幹線のぞみに乗り換えます。
京都駅で35分乗り換えの待ち時間があったので駅弁を購入。のぞみ車内でいただきました。品川駅には21:25に到着。充実した一日でした。